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変わりゆく教育

IT技術の進化と共にここ数年の私たちの生活も大きく変わってきました。 教育に関する事柄も大きく変わろうとしています。 変わりゆく教育の姿を追ってみます。

桜と学生
先日小学生のプレゼンを見る機会があり、何気なく見ていると器用にパソコンのプレゼンテーションソフトを使い、 大人顔負けの饒舌さで企画を話していました。 話す力の高さにも驚いたのですが、プレゼンに使われたグラフや資料の視覚的操作が本当に素晴らしく、 ITに携わるわが身としては、もう少しプレゼン力を上げねばと思いました。 同時に、これだけのことができる子どもたちが今やスタンダードであるならば、教育の現場も相当に変化していているのではないか? 今回はそんな変わりゆく教育の姿をレポートします。

5分でわかる。2020年以降実施予定の小学生のプログラミング教育って?

2020年に小学生のプログラミング教育を必修として開始すると発表がありました。 何故そんな難しいことを小学生で?と思われる方も多いかもしれませんが、実はこの流れは必然で、 アメリカやインドなどで、早くからプログラミング学習が盛んにおこなわれています。 背景としては、圧倒的な人材不足にあり、IT需要が増えているにもかかわらず、従事する人間が全く足りず、 数十万人規模で人手不足が続いています。 確かにIT業界は慢性的に人手不足で、逆に言えば就職にも強いため、将来を考える上でも プログラミング学習の低年齢化はさほど反対意見も少なく受け入れられているようです。 とは言え小学校で行うプログラミング教育で、何をしていくのか? これはまだまだ議論の余地がありますが、筆者が必要だと考えるのは以下です。

■小学生
プログラミング能力 パソコンを使い調べ物や簡単な動きのある画面を作ったりする。
技術的応用 ロボットに動きをつけたり、パソコンで絵を遊びの中でモノづくりを経験する。
ITリテラシー教育 ネットを利用する際の注意点など。

■中学生
プログラミング能力 プログラミングを行い、ネット上で公開する。
技術的応用 家電などに制御系の動きをプログラミングし、危険性を排除したモノづくりを行う。
論理思考を身に着ける プログラムを行う際に必要な論理思考を身に着けるため、 ディスカッションや論理の組み立てを行う。
ITリテラシー教育 ネットを利用する際の注意点やセキュリティーについての知識

小学生と中学生との違いは、小学生は遊びながら触れているのに対し、中学生は技術/家庭の時間などを想定し、 身の回りにあるものとプログラミングを結び付けて経験していくというカリキュラムではないかと思います。 特に中学生には論理思考が加わり、プログラミングの世界観を考え方の領域から学んでいくことを想定しています。 小学生の内はまずはパソコンやプログラムに触れるという事でしょうか?

ロボットプログラミングが示す今後のプログラミング


少し前に登場したpepperくんという対話型ロボットをご存知でしょうか? 会話を学習し、しかもモニターなんかを使って案内や、情報を流したりと、様々な用途での使用が可能なもので、 しかも個人ユーザーでも購入可能なリーズナブルな価格で販売されています。 このロボットのプログラムは原則会話を簡単なコードとプラグでつなげて作成することで、 対話ができたり動きをつけたりできます。 特に技術はいらず、面倒なのは会話の発音(日本だけかもしれませんが)設定がひどく面倒であるくらいで、 初歩的なプログラミング能力で必要なものが作れてしまいます。
ロボットは、将来介護の現場や工場や倉庫などの単純作業の現場での利用が期待され、支援ソフトの発達で、 より簡単なプログラミングに変わっていくことが想定されています。 いわゆるプログラマーが取得すべきプログラム言語に縛られずに、プログラムの原理さえ理解していれば、 あとは比較的技術が無くても作れる時代がそこまで来ています。 初等教育で目指すプログラミングとは、まさにおもちゃのような便利な機能を利用したプログラミングが進められると思います。

学力の向上と教育の現場の変化

日本の学生の低学力化が叫ばれてもう十数年経過しています。 その結果起きた現象は塾や習い事などの教育関連業界の売り上げ増で、子どもの数は減っていますが、 子どもにかける教育費は年々伸びています。
勿論長期的に見ればその傾向もやがて緩やかに落ち込んではいくでしょうが、 それを見越すようにここ数年で起きているのが塾の併合、合併です。 過去にも様々な業種で見られたこの動きの目的は、合併によりお互いのノウハウが共有でき、また資本が膨らむことで、 企業規模が大きくなり大きなことに挑戦していくことができるというメリットがあります。 デメリットはサービスが規格化または高額化し、そこに合わない子どもたちの受け皿が減ってしまいます。 この動きは例えばスーパーなんかでしたら、より大きな物流が作られるわけなので、 価格を下げて良い商品を提供することが可能になりますが、教育はサービス対象がジャガイモ1個と言うわけではないので、 価格だけでは語れないものがあります。

塾は受験対応を子どもたちに施し、テストに強い子どもたちを量産していきます。 結果として学力は上がるのかもしれませんが、それ以上のものを得ることが難しくなる可能性があります。 例えば世界的に見た場合、日本人全体の学力低下が昨今問題視されています。 これは単純に勉強ができない子どもが増えているわけではありません。 端的に言ってしまうと、国際的に活躍するだけの学力を持つ子は少なくなっているという事です。
例えばハーバードやケンブリッジのような、国際的に有名な大学への留学者が、中国や韓国と比較しても、 日本人は極端に少ないそうです。国内に優秀な大学があるので留学しないのかといえばそうでもなく、 東京大学の世界ランクは2017年現在で30位以下だそうで、国際的な知名度も低いようです。

学力は向上し、国際的な競争力は低下する


現状の子どもたちの学力は向上しています。 これは単純に教育への投資が上がっていることにあります。 その背景には出生率の低さも関係しているのかもしれません。 昔と違い生む子どもの数が減っていることで、 子ども一人にかける投資額が上がってきていることにつながっているのかもしれません。 そもそもほぼ100パーセントを誇る識字率を持つ国が学力が低いわけがないのですが、 国内に埋没してしまうのは日本人の昔から言われる悪いところなのかもしれません。
こういった状況が教育現場にもたらされるのが、小論文などを取り入れた考える力の育成です。 教育の根本は記憶ではありません。 生きる力、考える力を身につけるさせることです。 数学は文化の継承と倫理的な思考を身につけるために必要な力で、英語は世界で生き抜くために必要な能力です。 考える力を養うことなしに、国際的な競争力が上がることはありません。

英語はより低年齢化し、考える力は必須に


日本は外国の旅行ガイドなんかでは英語圏として扱われているそうです。 しかし、実際に日本に来た旅行者が道を聞いても応えられる人は3割程度と言われています。
韓国なんかを旅行すると気付かされますが、道を尋ねても英語でちゃんと返してくれます。 まだまだ日本の英語教育は十分ではないと言え、今後も英語教育はますます力を入れていく必要があります。 英語教育が進めば、日本人が世界に打って出ることにもつながりますので、 今後も力を入れなければならないと思います。

考える力については、学力テスト一辺倒だった教育から、情報の扱い方やテーブルディスカッションなど、考える力に少しずつ傾斜していくでしょう。 これはプログラム教育にも言えることですが、これだけ情報があふれる中で、 全ての情報を記憶の中にとどめることはむしろ不可能で、知識をどう利用していくのかというところに必然的に向いていくはずです。
例えば外国の人と話をしていると、自分が日本人であることを理解した上で鎌倉時代の元寇についてどう思うのか聞かれたとします。 元寇のことを知っていても元寇について考えたことは多分一度もないでしょう。 ただの歴史的な事実として理解しているだけだと思いますが、しかし、よくよく考えるとこの戦争は、 国家存亡をかけた大事件だったことが分かります。 外国人とりわけ欧州人は、国の存亡をかけた戦いというものがいく幾多と経験しています。 歴史を習う時に、常に民族について考える機会があることで、自分たちのイデオロギーを形成しているのかもしれません。 ネットの発達は今後学校教育の中にある記憶の評価を無くしていくでしょう。 同時にコミュニケーションを重視し、第二外国語の習得と、考える力の育成が組み込まれていくはずです。 無論外国の人から元寇について聞かれること自体がレアだとは思いますが、 国際的な感覚はより必要になってくるかもしれません。 知識は記憶するものでなく、知識を使って何かをするという感覚を教育の中で身に着けていくことで、 大きな成果を残していくのではないでしょうか。

まとめ

今回は2020年のプログラミング教育と、考える力を身に着ける教育についてまとめてみました。
チェック プログラミング教育は論理思考を身に着けること
チェック 英語教育は今後も重視されていく
チェック 教育とは生きる力をつけることで、考える力が求められる
チェック 記憶中心だった教育から知識をどう使うかの教育に変化する

今回は変わりゆく教育というテーマでレポートを書きました。情報が洪水のように溢れ出す現代で、その情報を身に着けて、 どう生かしていくのか。知識を生かすことがプログラミング教育と考える力を養う教育の基本となっていくのではないでしょうか?

参考資料・書いた人


著者 書き手:My塾セレクト編集部  Yuji
教育関連会社に二十年余勤務し、塾や通信教育事業の裏方として働く経歴を持つ。
教材作成から、チラシのデザイン、教育系サイトのプログラマとしての実績を持つ。
2児の父でもある。


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