学びの書籍:世界はひとつの教室
ITが変える教育のあるべき形とは?
ITの教育現場の活用が教えてくれる学びとは?
教育現場のIT化が叫ばれて久しいですが、とうとう2020年には小学校でプログラミング学習の必修化の検討が始まるとのことで、
プログラマーの端くれでもある我々にとっては、IT業界の慢性的な人手不足に歯止めがかかるという意味において、
良いことだと思っています。
所謂ICT教育はプログラマなしには実現はしないので、多くの優秀なプログラマが世に出てくれば、
それだけ産業も活性化すると思います。
とは言え、教育現場のICT化と言われてもなかなかぴんと来ない方も多いのではないでしょうか?
やや本題とそれましたが、今回の学びの書籍はサルマン・カーンさんが出した「世界はひとつの教室」という本です。
この本は2017年5月現在からさかのぼること4年前に出された本ですが、この中に教育に携わるものとして、
目から鱗のIT技術を使った教育方法が書かれています。
反転授業
サルマン・カーンさんが提唱する反転授業とは、「学校では授業 家では宿題」という従来の図式を変えて、
「家ではYouTubeなどを利用した映像による講義 学校では宿題」を行う事で学力の向上につながるのではないか?というものです。
確かにWEBでの検索は、これまでの丸暗記的学習を無意味なものにし、記憶よりもクリティカルシンティング(批判的思考)や
問題解決のスキルを身に着けるほうがより実践的になってきたことが明らかになってきています。
こういった流れを受けて教育現場も記憶の推奨からシフトをし始め、受験の傾向も記憶の評価から、
小論文などのような思考の評価へと移行しています。
また、この本では80点で合格というのは20%わかっていないということで、それは合格といえるのか?と言う、
やや受験生には厳しい問いかけがなされます。
学習だと完璧じゃなくても許してほしいなあと思ってしまいますが、例えば自動車を運転する人が、
違反を犯して交通事故を起こしたとします。
その際に免許取得の時にこの違反を勉強していなかった、と言っても誰も許してはくれません。
確かに免許は100パーセント合格でなくてももらうことはできますが、
だからと言って違反を知らなくてもよいという道理はありません。
合格とは出された項目をすべて理解した段階のことを言うわけなので、記憶の診断も本来は出された問題を全て理解して、
それを100パーセントできたかできていなかったのかで評価すべきなのです。
そのための効率の良い学習方法として、IT教育があるわけです。
IT教育の優れた部分の一つとして、同じ内容を何度も反復できることにあります。
学校や塾の授業だと、いくら良い内容でも、一度聞いて終わってしまうと、記憶にとどめておくことは難しいですが、
映像であれば何度も反復して練習することができます。
その結果100パーセントの習熟度に到達できるようになるわけです。
本書ではIT教育だけにとどまらず、年齢によるクラス分けや夏休みの必要性についても問われています。
例えば小クラス制は教育における重要な要素である学びあうという意識を低下させ、
且つ1担任制も先生のスキルやモチベーションに左右されるため、
25名4クラスであれば100名クラスで先生を4名つけるほうが効率的に学べると言います。
なかなか大胆な感じがして、にわかには賛同しにくいですが、閉塞感のある日本の教育にも当てはまる、
時代のずれを感じることができます。
教育の疑問点が多く書かれている本書を読むと、本来あるべき学習の方法が見えてくる気がします。
何故この本がおすすめなのか
学習に重要なのは毎日やることと、効率の良い学習方法を実践することです。
本書の中にある反復学習は、教わってから練習するというサイクルから、自ら学んでから足りない部分を教わるというサイクルを提唱しています。
これを実現したのはITの力ですが、同時に過去にあった貧富の差にとる教育レベルの差を解消しています。
過去先進国の子どもたちは学校がそもそもなく学ぶ機会を持て無かったり、学校に行っても先生が不足し、
学ぶ機会を上手く得ることができませんでしたが、IT化はそういった貧富のボーダーを無くしています。
昔だと貧しい人々は教育を得られませんでしたが、今はやりようによっては学ぶ機会はたくさんあるわけです。
言い換えれば今あるやり方がすべてではないという事に気づかされます。
今あるやり方に疑問がある場合は、その他の方法を確かめてみましょう。
きっとこの記事を読んでいるあなたにも最良の学習の方法があるのかもしれません。

書き手:My塾セレクト編集部 Yuji
教育関連会社に二十年余勤務し、塾や通信教育事業の裏方として働く経歴を持つ。
教材作成から、チラシのデザイン、教育系サイトのプログラマとしての実績を持つ。
2児の父でもある。
■書籍紹介
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